家族へ支払う給料を経費にすることができます(専従者給与)
 

青色申告者は、家族従業員を青色事業専従者とし、専従者に支給する給与を必要経費に計上することができます


所得税の税率は、所得が多くなれば段階的に税率が上がる仕組みになっています
そこで、家族の中に事業に従事する人がいれば、その人に給与を支払い、所得を分散させると事業主の所得は少なくなっても一世帯の総所得額は変わらずしかも節税になります
 
(青色事業専従者となった場合、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除の対象からはずれます) 
 
まず、家族従業員を青色事業専従者とするには下記の要素に当てはまらねばなりません

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生計を一にするとは?
 
 ・衣食住などの生計を一緒に営んでいるということ
 ・同居していなくても、同一の生計であれば、これに当てはまります
つまり、生活費を賄うために同じお財布を使っているということです
 
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もっぱら従事するとは?
 
原則的には、その年中において6ヶ月を超える期間事業に従事していること
特例的には、従事可能期間の2分の1を超える期間、事業に従事していること
→中途開業、中途廃業、婚姻、長期の病気 等
 
次に、事業主が青色事業専従者の給与を必要経費とするには、上記の条件を満たした上で、以下の要素に見合わねばなりません
 
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届出
 
青色事業専従者給与を必要経費に算入するには、青色事業専従者給与に関する届出書下記期限までに税務署に提出しなければなりません
 
届出期間
 
新規開業の場合 開業日
1月15日以前 → 3月15日まで
1月16日以降 → 開業した日から2ヶ月以内
新たに専従者を
有した場合
有した日
1月15日以前 → 3月15日まで
1月16日以降 → 有した日から2ヶ月以内
 
届出書に記載する給与の額は、必ず支給しなければならないというものではなく、専従者給与の限度額となるものです。
届出書はあらかじめ同じものを2部作成し、税務署で受付印を押してもらい一部を提出、もう一部は控えとしましょう。
 
青色事業専従者の給与支給額
 
適正な給与額かどうかは、以下に挙げる4点を十分に考慮して判断しましょう
 
(1)その事業への従事期間、労務の性質および提供の程度
(2)その事業に従事する他の使用人の給与の状況
(3)その地域の同業・同規模の事業に従事する者が受ける給与の状況
(4)その事業の種類、規模、収益の状況
 
専従者は雇用従業員と違って、事業主との共同経営者あるいは将来の後継者として単なる労働時間の量では測りきれない、労務の性質(役割ともいうべきもの)を果たしています
従って、専従者の特別な地位を前提に前述の要素を判断の基礎にしながら世間相場を参考にして
「他人だったら幾ら払うか」「よそに働きに行けばどれだけ貰えるか」をも加味しながら、肉親としての情に溺れることなく決めましょう

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青色事業専従者の給料の金額を変更したいんだけど
 
 絵文字:矢印 右 減額するとき
    特に手続きはありません
 
 絵文字:矢印 右 増額・支給日等を変更するとき
「青色事業専従者給与に関する変更届出書」に金額を記載し、税務署に提出します
 
 
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青色事業専従者の税金はどーやって納めるの?
 
 絵文字:矢印 右 青色事業専従者は、給料をもらっている給与所得者です
事業主が毎月の給与支払いの際に源泉所得税を天引きし、管轄の税務署へ納付する必要があります
 
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青色専従者の退職金は?
 
 絵文字:矢印 右 青色事業専従者は、一般の従業員と異なり、退職金を支払っても必要経費として認められません
 
源泉所得税
small所得税の源泉徴収制度とは?
 
  個人事業主は自分で所得税の計算をし、確定申告することにより納税しますが、青色事業専従者や従業員については、事業主が給与から所得税を徴収して納付しなければなりません
 

 
納税に関する届出
 
事業主が給与等の支払いを始めた時
 
 給与等を支払うこととなった1ヶ月以内に【給与支払い事務所等の開設届出書】を管轄の税務署に提出すること
 
 
事業主が給与等の支払いがなくなった時、事業所の移転があった時
 
 これらの日から1ヶ月以内に【給与支払い事務所等の移転(廃止)届出書】を管轄の税務署に提出すること
 
青色専従者給与を支払い始めた時
 
 【青色事業専従者給与に関する届出書】の届出が必要です


 

 
手順
 
(1) 毎年、専従者、従業員より【給与所得者の扶養控除等(異動)報告書】を提出してもらう
 
(2) 毎月、給与を支払う前に源泉税額を算出し、源泉徴収を行う
 
毎月の給与→ 「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」により算出
賞与→ 「賞与に対する源泉徴収税の算出率の表」により算出
 
(3) 源泉徴収簿を作成する
 

small【給与所得者の扶養控除等(異動)報告書】とは?
 
給与の支払いを受ける専従者や従業員は、原則としてこの申告書を提出しなければなりません
この申告書を提出しないと、受けることの出来る諸控除が受けられないことになるばかりか、この申告書を提出した場合よりも高額の所得税を徴収されることとなります(扶養親族の人数により控除額が変わるからです)
よって、事業主は専従者および従業員の方にこの申告書を提出するように促しましょう
 

small【源泉徴収簿】とは?
 
毎月、給与を支払うときに支払い年月日、給与支給額、源泉所得税額等を記入します
 
源泉所得税を納付をする時期
 
給与を支払った日の属する月の翌月10日までに納付書を作成して、金融機関や税務署で納付します
 

 
*納期の特例*
 
常時10人未満の事務所などで承認を受けた場合、半年ごとの納付となる
【源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書】 の提出が必要
 
1~6月分 →7月10日までに納付
7~12月分 →翌年1月20日までに納付
 
当会では6月分までは7月初めに、12月分までは年末調整と一緒に1月初めに指導作成を致します
 

 
*納税額がない場合*
 
給与の支払い年月日、支払い人数、支払い額等を記入した納付書の提出が必要です
 
年末調整

絵文字:質問 年末調整とは?
 
 絵文字:矢印 右 青色専従者や従業員にとって、確定申告に代わる役目を果たす重要な手続きであり、給与支払者(事業主)にとって、年間の源泉徴収事務の締めくくりです。
 
年末調整の手順
 
(1) その年の最後の給与支払い日までに所得税の年税額を計算する。
 
以下の諸控除等を踏まえた上で年税額を計算しましょう。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらい、扶養親族の異動の有無を確認する。(扶養親族等がいない場合でも提出してもらうこと!)
 
・配偶者特別控除を受ける場合
「配偶者特別控除申告書」を提出してもらう。

・生命、損害保険料の控除を受ける場合
「保険料控除申告書」を提出してもらう。

・住宅ローン控除を受ける場合
「住宅取得等特別控除申告書」を提出してもらう。
 
(2) 毎月源泉徴収してきた税額より、年税額のほうが多ければ差額を徴収、少なければ還付する。
 
(3) 「徴収高計算書(納付書)」に必要事項を記入し、(2)で徴収した金額を1月20日までに納付する。
 
(4) 各専従者、従業員ごとに「給与支払い報告書」を作成する。
 
1部 ・・・ 本人に交付(3枚目の「源泉徴収票」を交付)
2部 ・・・ 受給者の市区町村へ提出(翌年の1月31日まで)。
※同時に「給与支払い報告書の総括表」も提出する。
1部 ・・・ 税務署へ提出(※給与受給額が500万円を超える者のみ)。
※同時に「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を提出する。(給与受給額が500万円を超える者や報酬の支払い等がある場合のみ提出。)
 
【給与支い払報告書とは?】
 
市区町村が住民税の徴収の際に必要とする資料となるもの。
給与以外に収入のない給与所得者は、所得税や住民税の申告書を提出しないのが一般的なので、
その申告書の代わりとなるものです。

→これにより、その年の5月31日までに市区町村から住民税額の記載された「納入書」が送付されてくるので、それに従い納付する。
 
以上にてその年1年間の源泉徴収事務の完了となります。
各書類の書き方や計算、条件に当てはまるかどうかなど、お気軽に事務局までお問い合わせ下さい。会員には当会にて親切丁寧に指導作成いたします